家と映画の金曜日

金曜日の夜、家でくつろいで観たい映画と作品に合うお酒や食べ物を好き勝手に紹介します。

『ゴッホ ~最期の手紙~』 絵のごとく渦巻く証言とゴッホの苦悩

ゴッホ ~最期の手紙~

 ゴッホといえばひ独特なタッチで描かれたひまわりの作品が有名ですよね。そのゴッホの生涯はというと、生前に売れた絵はたったの1枚で、評価されない不遇の日々を送っていました。28歳から画家を志し、南フランス・アルルでアトリエを開きゴーガンとの共同生活をするものの口論を繰り返すようになり、ゴーギャンは去ってしまいます。それが原因でゴッホは自身の耳を切る事件を起こし精神病院へ。退院後、オーヴェールへ移り住み芸術活動を再開するも、その後、自殺を図り2日後にこの世を去ってしまいます。

 

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【あらすじ】

 ゴッホの自殺から1年。主人公アルマン・ルーランは、ゴッホと親交のあった郵便配達人の父からゴッホの手紙を託され、ゴッホの弟・テオへ手紙を渡すためにパリへ赴きます。しかし、宛先人のテオはゴッホの死から半年後に亡くなっていました。行く先を失った手紙を携え、アルマンは手紙を渡すべき人を探し、ゴッホの死までの足跡をたどり始めます。(2017年 イギリス・ポーランド 96分)

 

 この映画の凄いところはゴッホのタッチで描かれた油絵による映像化。俳優たちの実写映像を撮影後に特殊な技術でキャンバスに投影し、それを多くの画家たちがゴッホのタッチで描くという、とても地道な作業により作られています。

ただのアニメーションではなく、一瞬一瞬の動きにも筆が入り、しゃべる時にできる頬の影の動きまで描かれています。ゴッホの絵がそのまま動き出し、生きているかのような自然な動きです。気の遠くなるような作業に、この映画製作者たちのゴッホへの愛の深さが感じれれます。

 

 「風変わりな外国人」、「優しい画家」、「精神的に危うい男」。証言する医者とその娘、宿の娘、家政婦、ボート貸し……ゴッホを取り巻いていた人々の異なる証言の中で、アルマンは真相を探します。ゴッホの死は自殺なのか他殺なのか、なぜゴッホは死んだのか。ゴッホの描いたのどかな田舎風景や、重苦しい雰囲気の教会を舞台に、アルマンは迷い、思案します。

 実物のゴッホがどんな人物で実際はどんな死に方だったのかは諸説あり、この作品が真のゴッホとは言えないですが、ゴッホの姿を知る一つの材料として観るには面白い作品です。  

 

【映画のお供】

ブルゴーニュワインの「ルサネ レ・ロンジュロワ 2017ドメーヌ・コワイヨ」。

完熟したブドウから作られた、力強く骨太な赤ワイン。大地を思わせるドライフルーツやプラムの果実香、燻香、木質香など複雑な香り。タンニンは強めで、余韻が長く続きます。

自然を愛し、激しいタッチや渦巻くタッチで描くゴッホのイメージに合う一本です。異なる証言に思い考えるアルマンのように、複雑な香りを楽しんでみてはいかがでしょうか?

 

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